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2024-02

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捜索差押の諸問題。

LESSON 51 捜索差押の諸問題

茜歌:LESSON 50を突破したので、ちょっと運営方法を切り替えてみようかと思います。
綾音:どうするんですか?
茜歌:今まで以上に、判例メインでやっていこうと思いますっ。
琴羽:更新時間が無いのに対する策なんでしょ?
柚雁:いきなり、本音がばれた。
茜歌:しくしく。

☆最一判昭和51年11月18日判時837-104

茜歌:恐喝被疑事件で、捜索差押をして、色々押収したものの中に、メモ196枚がありましたー。
綾音:その中に、賭博開帳記録が含まれていたので、賭博罪で起訴した、という事案です。
柚雁:恐喝で捜索してるのに、賭博の証拠物を押収するなー! っていうことみたい?
琴羽:差押捜索令状には、その範囲について次のように書いてあったわけだけども。

本件に関係のある、
一、 暴力団を標章する状、バッチ、メモ等、
二、 拳銃、ハトロン紙包みの現金、
三、 銃砲刀剣類等

茜歌:こういう令状を貰っておいて、賭博の証拠になるメモを押収できるかっ、という問題ー。
琴羽:普通に考えるとダメな気がするわよね。
綾音:捜索差押は、令状に記載した罪名、捜索の場所的物的範囲を基準に行ないますから。
柚雁:別罪の証拠を持ってったら、別件逮捕じゃなくて、別件捜索みたいなー。

茜歌:にも関わらず、最高裁は本件捜索差押を適法だとしちゃった。
琴羽:えーっと、なんて言って理由付けしてるの?

綾音:令状に記載された「暴力団を標章する状」等は、恐喝被疑事件の組織的背景を明らかにする物だとします。
茜歌:で、本件メモも被疑者等の賭博の繋がりなどで、組織的背景を示す証拠足りうる、と言ったわけ。
柚雁:だから、恐喝被疑事件の捜索で持ってってもオーケイー?
琴羽:最高裁はそう言った、ってこと。

☆広島高判昭和56年11月26日判時1047-162

茜歌:この裁判例は、別件捜索を違法としたもの。
綾音:モーターボート競走法違反の被疑事件で、業務上横領の証拠物を押収してしまった、というものです。
柚雁:モーターボート競走法違反?
琴羽:競艇で、ノミ行為したってことみたいよ。
柚雁:ノミ行為?
茜歌:簡単に言うと、主催者以外が投票券を売る行為のことー。
柚雁:ふーん。でも、「ノミ」って何か放り投げてる絵文字っぽい……。
茜歌:ノミ三● iii ボーリングー。とか言って。
琴羽:阿呆なことやってないで。

綾音:競走法違反の方に関する証拠は無かったと記録されていたそうです。
茜歌:にもかかわらず、押収した証拠物を元に別件を起訴したー。
琴羽:競争法違反の方は起訴されていないし、そもそも捜索の必要性も疑わしいって言ってるわ。
柚雁:さすがにここまで酷いと、違法になるってことだっ。

☆最二決平成10年5月1日刑集52-4-275

茜歌:パソコン一台と、フロッピー108枚を差し押さえたって事案。
綾音:令状にも、「フロッピーディスク、パソコン一式」と書かれていたようです。
柚雁:じゃあ、何が問題?
茜歌:フロッピーはともかく、PCは色々入ってるからね。きっと明らかに犯罪に関係ないものも。
柚雁:確かに、茜歌のPC押収されたら色々恥ずいよねー。
茜歌:書きかけの小説とかね……!

綾音:ただ、FDやPCは当たり前ですが、見た目では何が入っているのか分かりません。
琴羽:それはそうね。
綾音:なので、まとめて押収せざるを得ない、という事情もあります。
茜歌:更に本件では、不用意にPCを立ち上げると内部データが全消去されるソフトが入ってる恐れあり。

綾音:そこで、最高裁は次のように言いました。

「被疑事件に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、
 そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは
 記録された情報を損壊される危険があるときは、内容を確認することなしに右パソコン、
 フロッピーディスク等を差し押さえることが許されるものと解される」

琴羽:仕方ない事情がある場合は、ってことよ。きっと。
茜歌:分離できる場合は、まとめて差し押さえちゃだめだと思う。

☆最二決平成2年6月27日刑集44-4-385

茜歌:今度は、建造物侵入未遂被疑事件。
柚雁:えっと、令状に書いてあった捜索対象物はー。

「事件の犯行を計画したメモ類
 並びにXの生活状況を示す預貯金通帳、領収書、請求書、金銭出納帳及び日記帳」

琴羽:で、預金通帳、振込金受取書を差押え。
綾音:ただ、それに伴い、写真撮影を行なったのですが、それが問題になっています。
柚雁:何を写したの?
茜歌:えっと、印鑑、ポケットティッシュ、電動髭剃機、背広。
琴羽:え? ……何それ。
柚雁:なんでそんなもの写してるんだろ……。

綾音:その撮影が、被疑事実と関係ないものを写真撮影したもので違法だとして準抗告した事案です。
柚雁:そりゃ、ポケットティッシュとか電動髭剃機は建造物侵入には関係ないよね……きっと。
琴羽:しかも、床に並べて接写したとか書いてあるんだけど。なんか笑える……。
茜歌:なんのマニアなのさそれ……。

綾音:いまいち意味が分からない事案ですが、結論は抗告は棄却されています。
茜歌:写真撮影は検証に当たるが、検証処分については、準抗告の対象になっていない、と。
柚雁:あっさり蹴ったねー。

刑事訴訟法430条1項
「検察官又は検察事務官のした第三十九条第三項の処分又は押収若しくは押収物の還付に関する
 処分に不服がある者は、その検察官又は検察事務官が所属する検察庁の対応する裁判所に
 その処分の取消又は変更を請求することができる。」

茜歌:押収、押収物の還付に関する処分しかないから、検証はだめだとー。
柚雁:じゃあ、どんなマニアックな写真撮影しちゃってもオーケイってことー!?
茜歌:この判決だけだとそうなっちゃいそうだけど。
琴羽:勿論、検証だから、令状は本来必要なんだけど。
柚雁:でも、その違法を争う手段がなーい。犯罪と関係ないから違法収集証拠とか関係ないー。
綾音:なんか微妙な判決です。

茜歌:ちなみに補足意見で、犯罪関連物を写した場合は、「押収に関する処分」と見るべきだって。
柚雁:でも、やっぱしマニアック撮影は抗告できないんでしょー?
琴羽:まぁ、訴訟上不利に働くわけでもないでしょうけど。
綾音:でも、なんとなく嫌な気分ですよね。


<参考文献>

井上正仁 [ほか] 著「ケースブック刑事訴訟法」有斐閣, 2004
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